普段よく耳にする「市街化調整区域」という用語は、厳密にはどういう意味で、そこに建物を建てたいときにはどうしたらよいのでしょうか。
この件は「市街化調整区域内の土地」の相続で問題になりそうです。
◎ 「市街化調整区域」とは
都市計画法では、次のように定められています。
「第七条 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要 があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。)を定めることができる。(以下略)」
簡単に言うと、「市街化を調整≒抑制すべき区域(都市計画法第7条3項)」を市街化調整区域と言います。
でも、そうはいっても、その区域は開発が一切できないわけではなく、市街化区域に比べてその条件が厳しくなっている、というものなのです。
同じ市域でも、市街地を抜けて少しすると、急に農地が広がっていたり、山林になっていたりするところはたくさんありますよね。非常に大まかなイメージとして、そこら辺が市街化調整区域ではないか、といえると思います。
でも、仮に相続が発生したとして、開発しにくいのだから「負動産」なのか、というと簡単にそうとは言い切れません。
まず、「開発」について説明しましょう。
◎ 市街化調整区域の開発行為
仮に、そういった土地を所有することとなって建物を建てたいとなると、その工事では、ある程度の切土や盛土をするし、道路付きを良くするために歩道にスロープを付けることを想定するでしょう。
それを開発行為というのですが、その許可基準も都市計画法に規定されています。
「第三十四条 前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為(中略)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、
当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。」
長い条文で恐縮ですが、要するに同法33条の要件に合致し、かつ34条1~14号の要件にも合致していれば許可される、という書きっぷりになっているわけです。
同法33条は、良好な市街地の形成の視点から宅地に一定の水準を保たせるための技術基準(例えば、空地の配置、道路の設計、給排水施設等に関する基準)に合致していることを求めるもので、これは市街化区域の開発行為でも適用されるものです。
市街化調整区域については、これらの要件に加えて、
「地元住民が利用する公益上必要な建物や、日常生活に必要な物品の販売などを営む店舗など」も、許可される、としている(同条1号)ほか、以下の要件が課されます。
例えばその「建物」が居住用だとすると、
「市街化区域の近くで既に50軒以上が固まっている地域に建てる建物など」については、許可が出る(可能性がある)と規定しています(同11号)。
これを「50戸連担」と言って、こういったケースに該当すれば、開発して建物を建てることができる、と言えるのです(ただし、開発許可だけでなく「建築許可」も必要です。なお、40戸連担という自治体もあります)。
さらに、上記の例でいえば、同14号で「前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為」も許可するので、
農家の次男、三男の方が分家する場合の住宅等の用に供するもの(農家分家)は許可されるようです。
◎ 相談先は所在地の市役所へ
私は、この関係の相談を複数受けたことがありまして、これがネックで相続に悩んでいる方がたくさんおられるのを知りました。
しかし、市街化調整区域に適した建築物等(福祉系の施設など)もありますし、位置によっては(低廉な価格にはなりますが)住宅地を作ることも可能です。
その意味では、単純に「負動産」ではないと思います。
ですから、開発行為については各市町村の「都市計画担当課」(都道府県知事から権限を委任されている)に問い合わせ、どのような条件なら工事等の「開発行為」ができるのかを確認するのが宜しいと考えます。
なお、そこが「農地」の場合には、開発許可だけでなく農地転用許可も必要になります。
いずれも行政書士が中心になって進めることができる業務なので、ご相談されるののも一つの方法だと思います。







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