行政書士だけでなく他の士業の多くが「相続」を標榜しています。私もそうです。
しかし、相続に直面した側にとって、専門家へ相談するのは費用や信用の面などで、なかなか一歩が踏み出せないのではないでしょうか。
でも、仮に専門家に相談したとして、それが行政書士だった場合、次のようなことが起こります。
というのは、「業際問題」という壁があるからなのです。
◎業際問題
行政書士の仕事で最初に行うのは、戸籍証明書の収集になるでしょう。
でも、遺族の方が「戸籍証明書の広域交付」の仕組みを使えば、ご自分でほとんどのことはできます(詳細は本稿「相続考5」をご覧ください)。
最寄りの戸籍役場に行き、「戸籍証明書の広域交付用」の申請書を使って申請すればよいのです。申請は(推定)相続人さんであれば、ほぼ大丈夫です。
そして、相続人がすぐに確定すれば良いのですが、連絡のつかない相続人さんもおられるかもしれません。その調査も、行政書士の仕事といえるでしょう(ただ、この仕事は、それほど簡単ではない場合があるのです)。
その先には、遺産の分割協議をする段取りになるのですが、ここでもめるようなら行政書士はタッチできません。
その場合は「法律事務」として、弁護士の業務領域になるからです。
仮にもめなくても、行政書士が分割協議の議論をリードするのは許されていません。これも「法律事務」の範疇だからだと思われます。
あくまで、遺産分割協議書の原案を作成する範囲で携われるだけです。
また、遺産に不動産がある場合、登記申請書の作成を行う(手伝う)のは司法書士の業務です。
昨今、相続税の基礎控除額が下がったようです(ぼかして書かせてくださいね)。相続税がどのくらいかかるのか、当然知りたい方も多いでしょう。
しかし、こちらは税理士の業務になりますから、詳細は税務署か税理士に聞いていただくことになります。
被相続人さんが年金受給者なら、「年金を停めないといけませんよね? どうやったらいいのでしょう」と聞きたいところです。
でも、その詳細は、最寄りの社会保険事務所か社会保険労務士に確認しましょう。
◎行政書士の業務範囲
私自身、こんなことを初期の研修で聞いたとき、正直、「だったら、行政書士の仕事は、何が残るの?」と思ったものです。
その答えは、行政書士の役割というのは「ワンストップサービス」の窓口ということです。
それは、相続される財産などに関してのお話を、依頼人さんから最初に伺い、
・その手続きをどのように進めていくべきかといった、手続きの進め方等の方向性を示す
・場合によっては、他士業等に繋いでいく
といったものです。
それぞれに報酬が発生するなら、費用がその分高くつくのではないか、という懸念は当然あるでしょう。
でも、行政書士が窓口になる以上、それは一体的な相続業務の中の役割分担であり、標準的な報酬の枠の中で、各士業の専門家が仕事をする、ということになります。
「なんだか面倒くさいんですね」とか言われそうですが、これがまさに「業際問題」なのですね。
でも、そんな制約があっても、行政書士が「ワンストップサービスの窓口」である以上、大体の段取りが分かってくれば、ご本人ができる手続きも明確になるし、ご本人がやることにより、その分費用が低減できると思います。
私は自分の家族の相続手続きをほぼ一人で行いましたが、財産関係だけでなく、その他の電気・ガス・水道・電話及びお墓等の手続きもかなり煩雑で、なかなか終わりませんでした。
そんなことに関しても、私はご相談に乗りたいと思いますし、それが「窓口」たるゆえんだと思います。
ですから、私は、相続業務に行政書士の仕事として、とても魅力を感じています。
そもそも、戸籍が絡む仕事は私の専門領域であり、相続人を探す仕事も、公務員時代から結構やりました。
他士業に繋ぐにしても、一番最初にお話を伺う立場というのは、とてもやりがいがあり、責任の伴う仕事だと思っています。
自分の家族の相続手続きをしていた際には、その悲しみや心身へのダメージを抱えつつ行ったものです。早く終わらせたいと焦り、さらに疲労が募ってしまいました。
当時は、役所の仕事を永くしてきたにもかかわらず、手続きは分からないことだらけでした。
だからこそ今度は、お手伝いする意味があるのではと思っています。
行政書士という立場を最大限活かして、この業務に携わさせていただければ、と思っております。







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