相続考2-戸籍の読み方の基本

 窓口で戸籍証明書を求める際は本籍の表示及び筆頭者氏名を記載して請求しますが、交付されたのち証明書が複数にわたる場合は、その「順番」を確認する作業がとても大事です。
 その確認が甘いと、繋がっているべき戸籍が中途抜けている場合を見落としかねないからです。
 そのチェックポイントが「戸籍事項(欄)」です。

 
 横書きの戸籍(コンピュータ化戸籍)で説明しましょう。

本  籍     千葉県○○市△☆387番地5     

氏  名     ×□◇ 健次             

戸籍事項
  戸籍編製  【編製日】平成〇年×月□日           


 戸籍の編製日は、多くの場合、婚姻年月日(あるいは送付された日。市町村間で郵送等で到達した日のこと)で、その次に多いのは転籍年月日や離婚年月日等になります。
 いずれについても、この日以降のこと(元の戸籍から移記される事項以外)が新たな戸籍に記載されるわけです。
 では、それ以前の戸籍を探すには、どこを見ればいいのでしょう。
 婚姻や離婚等でこの戸籍ができたのなら、「従前戸籍」を見ることで分かります。
 それには、「事件本人」(婚姻や離婚等の当事者のこと)の名前の下の記載(縦書きなら上)の身分事項(欄)を見ます。

戸籍に記載されている者     健 次
                (以下略) 

身分事項                      

 出  生          (省略)     

 婚  姻        【婚姻日】平成×年4月1日 
             【配偶者氏名】✖○ ◇子
             【従前戸籍】 愛知県名古屋市〇×区◎●1丁目☆★番 □◇
                    敏久


 婚姻日・従前戸籍の本籍と筆頭者名で、後の戸籍との繋がりを確認するのです。 
 転籍によりできた戸籍でも考え方は同じで、戸籍事項欄(本籍欄の次の欄)に「転籍日」と「従前本籍」があり、それで繋がりを確認できます。


【転籍日】  令和〇年×月□日

【従前本籍】 愛知県名古屋市○○◆丁目★番


 戦後の戸籍法改正後の戸籍は、大体こんな見方をすれば繋がりは分かります。

 では、戦前の「戸主」の戸籍はどうでしょうか。
 旧法戸籍は、戸籍事項欄がありません。
 そのため、戸主の身分事項欄、あるいは戸主の名欄か出生年月日欄の横を見ます。

 我々プロでも、旧法戸籍を読むのは難しいケースが多いです。
 特にコツがあるわけではなくて、手書き文字を、時には推測を交えながら読むしか方法はないと思います。
 その理由は一つには、当時の戸籍をマイクロフィルムに撮影し、それを紙に焼いたのちに証明書としている場合などは、マイクロ化の時か紙データ化したときの品質が悪くて、字が潰れて読めないことがあったからです。
 ここまでくると物理的に確認するのは難しくなりますので、前後の記載から推定していくしかなくなります。

 また、明治期の女性では結構いた「変体かな」の名の場合も、戸籍の書き手の個性でいろんな書き方となっていて、何と読むのか分からない場合も、実は多かったのです。

 旧法戸籍の編製事由は、「家督相続」、「分家」、「廃家」及び「隠居」等いろんなケースがありますが、戸籍担当でも研修で習うことはなく、場数を踏むしかありませんでした。
 実務的には編製事由を見つけることで十分であり、前戸主の戸籍から現戸主が「いつ一家を創設したのか」を探すしかありません。
 こんな作業を繰り返し、被相続人の出生時の戸籍にたどりつくのです。


 被相続人の最初の戸籍、すなわち出生時の戸籍かどうかは、その戸籍の編製日と被相続人の出生の届出日(または送付日)で確認します。
 編製日が後者の日付より前なら、そこが「出生時の戸籍」になるわけです。

 なお、私自身、戸籍の記載照合(戸籍を作ること)に携わってきて、「誤記載」の戸籍がかなりあり、それで意味が不明になっているケースをたくさん見たので、誤記載の原因を知らないでそれを解明するのは相当困難です。

 したがって、普通の方々(場合によっては士業の方も)が分からないことがあっても不思議なことではありません。

 注意が必要なのは、専門家の中には「分かったつもりになっている人」も多いことです。
 戸籍を取得したのちに、依頼人さんにきちんと説明できるか、その説明が分かりやすいかどうかで、その方の能力は分かるものです。

→相続考3へ続く

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