近親者が亡くなり、当面の課題である葬式等の手続きも終えたとします。
ようやく一息ついたころに、親族間で「この後のことなんだけど…」となるのが、普通の展開だと思います。
「この後」とは「相続手続き」です。
◎法定相続分
相続の話になった場合、各家族によって色んな展開は考えられますが、多くは「法定相続分」を前提に話を進めることになるのではないかと思います。
つまり、
①子及び配偶者が相続人なら、それぞれは相続財産の2分の1ずつ
②子がいなくて、配偶者及び直系尊属(被相続人の親)が相続人なら、
配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1
③同じく子がいなくて、配偶者及び被相続人の兄弟姉妹なら、
配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1
(民法900条)
となっています。
◎遺言はありますか?
場合によっては、「お父さん、遺言書作ってたよ」と誰かが言い出し、「どこにしまってあるんだろう」と、皆で探すことになるのでしょう。
相続手続きを始める際、被相続人(亡くなった方のこと)に遺言書があれば、通常「相続分の指定」がなされるはずなので、相続分はそれに基づいて決めればよいことになります。
では、遺言がない場合は、その次にどのように進めるべきなのでしょうか。
◎遺産分割協議
遺言書はなく、相続財産がある程度確定していれば、そこから先は相続人相互間での話し合いにより、「遺産分割協議」を行うことになります。
もっとも、話し合いが始まると、そこで話が複雑になっていくことが多いようです。
では、そもそも「遺産分割協議」には、法律的にどのような規制があるのでしょうか?
これについては、「遺産分割の自由」の原則があります。
つまり、合法的に協議さえ整えば、どのように分割しても有効ということです。
極端なことを言えば、仮に相続分の指定が「遺言」でなされていても、合意さえ整えば、それと異なる遺産分割は可能という見解さえあります。
というのも、遺言書が執行された後で、相続人相互間で財産のやり取りがあれば結局は同じ結果になるのであって、敢えて遺産分割協議の過程だけを規制する意味は薄い、ということだそうです(窪田充見「家族法」510頁)。
※といっても、無制限に遺産分割協議ができるわけではなく、相続財産に対する債権者を害するような分割協議は「詐害行為」として取り消される可能性はあります。
◎遺産分割協議書を作るメリット
遺産分割協議に法的な制限が少なくても、協議がそれほどスムーズに進むとは限らず、兄弟間でもめたり、高齢の生存配偶者が居住している不動産の扱いが問題になったりすることはあるでしょう。
でも、これが逆に、「遺産分割協議書」が必要になる理由でもあると思われます。
法律上、遺産分割に関し「協議書」の作成を求めるような規定はないのです。
でも、金融機関や登記所等では、ほぼ必須の書類のようにされていますね。
「協議書」の作成には高度な専門知識は不要で、それほど難しいものではありません。
他方、相続の申請を受ける側としても、真正の相続人に対しては、安全にかつ迅速に進めたい、という思惑があり、この両者のニーズが一致したからではないか、と私は考えます。
◎添付書類
この書類は簡便な証明ではありますが、書類作成者が真正の相続人である証拠として、署名とともに、押印には原則「実印」が求められます。
実印を押印する以上、併せて、相続人全員分の「印鑑証明書」の添付も必要になるということになります。
この点で私が以前聞いた話で、押印された実印と印鑑証明書の印影との照合を「判定機器」を用いて実施できるようで、こういった方法で真実性の担保を行っているそうです。
ですから同じ実印でも、割れていると不一致になってしまうこともあるようです。
◎「正しい」遺産分割協議書とは
遺産分割協議書の書式自体は、ネットで簡単に取得することができます。
しかし、申請先が、間違いないかきちんと審査するものである以上、その内容において一定の正確性が担保されていなければ、受け付けてくれない場合もあります。
金融機関で通ったのに、法務局の登記部門では不可という場合もあるようです。
その意味で、書類作成等が不得手な方には、我々のような専門家がお手伝いする余地はあるだろうと思います。
前述のとおり、遺産分割の前段階で相続財産の確定が必要な場合もあり、そこからご依頼いただく場合も、対応させていただきます。







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