遺言することの意味について―相続考8

 「遺言」は「ゆいごん」と普通は読みますし、あえて「いごん」と呼ぶ人もいますが、法律上の読み方はどちらでも正解です。ただ、法律家は「いごん」と読む人が比較的に多いようです。
 この度、この「遺言書」に関する法律が改正される運びとなりました。
 改正内容では、一番簡単に作成できる「自筆証書遺言」に関する部分が肝だと考えます。 

◎現状の問題点
 これまでは、用語のとおり、遺言者が「自筆」(手で書くこと)で作成しなければならず、そこがとても面倒でした。PC等が使えるのは「財産目録」の部分だけ。
 デジタル機器で作成できる遺言の方式もあることはあるのですが、それは「秘密証書遺言」といって、別の面倒な要件(証人2名や公証役場への出頭など)が必要になるため、あまり利用されてきませんでした。

◎主な改正内容
 今回の改正では、PCやスマホで作成した「デジタル遺言書」を認める方向のようです。
 新聞報道によると、その遺言の方式は「保管証書遺言」と呼ばれ、

・デジタル遺言書を残したい人はパソコンなどで作った遺言書のデータや、それを印字した
書面の保管を、法務局にオンラインや郵送で申請
・法務局の担当官がウェブ会議や対面で本人確認を行い、全文を読み上げて真意に基づく内容であるか確認する
・「押印」は廃止
というのが主な改正内容のようです。

 「保管」という名称の通り、このデジタル遺言書は「法務局で保管」されたうえ、本人の死後、指定した人(複数の推定相続人)に通知されるとのことです。
「自筆証書遺言」の欠点だった遺言書の偽造紛失といった問題点が改善されるということでしょう。
※ただし、「法務局に保管」すること自体は今でも可能であり、作成者が遺言書を法務局に持参して保管してもらうことで、相続発生後に、法務局側から推定相続人に通知してもらえる仕組みは存在します。

◎遺言する意味
 自筆証書遺言は遺言の方式中で最も簡便な方法ではあるけれど、それでも結構条件が厳しいのが現実です。
 そもそも遺言自体「誰が相続人になるかを決めることはできない」という部分が一番知られていないのではないかと思います。遺言で法的に有効なのは「相続分を指定する」部分だけなのです。
 また、全文の自書の他にも、遺言者が日付及び氏名を自書し、最後に押印することが必須でした。
 押印はいろいろな場面で廃止の方向でしたが、今回の改正でようやく実現するようです。
 この改正で遺言がどれほど増えるのか、興味深いところだと思います。

 私も、自筆証書遺言の原案作成についての依頼を、昨年いただいたことがあります。
 しかし、お会いする約束までしたのに、叶いませんでした。
 その前に、亡くなられてしまったからです。
 その後、遺族の方とお話しする機会があり、あまりにも急なことだったためか生前の意思はどうだったのか聞かれたので、記憶している全てをお伝えしました。
 
 遺言書を作るかどうかは全くの自由ですが、大事な家族への最後のメッセージとして認(したた)める意味はあるかもしれないと、私は思ったものです。

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