預貯金の「仮払い」-相続考9

 自分の家族の相続手続きの際、「葬式」の費用は気になりました。
 直近の葬式はほぼ自分で費用を賄ったので、なおさらです。
 幸い、以前の知り合いから紹介された葬儀屋さんが非常に親切な方でしたので、葬儀の格は保ちつつも、費用はとてもリーズナブルに済ますことができました。
 でも、そうはいかない場合もあるかもしれません。

◎故人の口座から「葬儀費用」は引き出し可能か
 近年葬儀は簡素化されて費用も相当低減されているようですが、それでも急な出費ではあるし、負担は軽くはないでしょう。
 でも、故人を偲ぶ気持ちを葬儀の場で表現するのは大事なことですし、費用を気にしながら挙行するのも、できれば避けたいところですよね。
 そこで、凍結されていない間の故人の預貯金口座から葬儀の費用を引き出すことは可能か、が問題になります。
 法律上「預貯金債権についての権利行使」の一環として、いわゆる「仮払い」が認められています。
 すなわち、
・各共同相続人は、相続開始時の預貯金債権の3分の1に各々の相続割合を掛けた額の範囲内で、
かつ、
・標準的な当面の生活費や平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案した法務省令で定める額(銀行等金融機関ごとに150万円)を限度に
権利行使できる、とされています(民法909条の2前段)。
※口座が凍結されて以降の具体的な手続きについては、各金融機関に問い合わせいただきたいと思います。

◎遺産分割までの繋ぎ
 引き出したお金の扱いについて民法では、「遺産の一部分割により、取得したものとみなされる」(民法909条の2但書)ので、のちの遺産分割協議等でその分は考慮されます。
 それでも、私は、限度内であっても生活費や葬儀費用以外に引き出すのは、避けた方が無難だろうと思います。
 個人的に、遺産分割の際に揉める素は、出来るだけつくらない方が良いと思うからです。
 
 ですから、「仮払い」は遺産分割までの繋ぎとして考え、他の共同相続人さんに事前に了解を取っておくなり、少なくとも、その旨を伝えておくなりしておいた方が宜しいかと思います。

 今回は私の個人的な見解を書きましたが、必要な費用を引き出すのは「権利」として認められているので、それ自体が問題というわけではありません。
 ただ、個々の金融機関の具体的な取扱いを事前に確認しておくことは必要です。
 
 以上、念のため申し添えさせていただきます。

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